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再生医療等提供計画情報の詳細情報です。

第三種
令和2年1月9日
令和7年5月26日
令和6年7月31日
重症全身性硬化症に対する自己造血幹細胞移植の有効性に関する検討:第Ⅱ相臨床試験
重症全⾝性硬化症に対する⾃⼰造⾎幹細胞移植の試験
国立大学法人 九州大学 九州大学病院
中村 雅史
重症全身性硬化症は皮膚硬化と多臓器病変を特徴とする自己免疫疾患であり、本邦の推定患者数は約3000人である。従来療法としてシクロホスファミドの間欠的点滴静注 (IVCY)が行われるが、合併症の改善は乏しく5年生存率は50~60%と予後不良である。新規治療法として自己造血幹細胞移植療法を併用した骨髄破壊的大量化学療法が開発されており、欧州および米国の臨床第III相試験では、それぞれ5年生存率が対照群である従来療法(IVCY)と比較して有意に優れていることが報告されている。本研究においては、本邦における重症全身性硬化症に対する自己造血幹細胞移植の有効性を検討する。
2
全⾝性硬化症
募集終了
シクロホスファミド
注射用エンドキサン
九州大学病院特定認定再生医療等委員会
NA8150001

中止内容

令和6年7月31日

1 提供しようとする再生医療等及びその内容

申請者情報

令和7年4月16日
jRCTc071190041
国立大学法人 九州大学 九州大学病院
福岡県福岡市東区馬出三丁目1番1号
中村 雅史 Nakamura Masafumi

(1)再生医療等の名称及び分類

重症全身性硬化症に対する自己造血幹細胞移植の有効性に関する検討:第Ⅱ相臨床試験 A single-arm, open-label, phase 2 study of autologous CD34+ stem cells-selected transplantation for severe systemic sclerosis( A single-arm, open-label, phase 2 study of autologous CD34+ stem cells-selected transplantation for severe systemic sclerosis )
重症全⾝性硬化症に対する⾃⼰造⾎幹細胞移植の試験 A clinical trial of autologous stem cell transplantation for severe systemic sclerosis( A clinical trial of autologous stem cell transplantation for severe systemic sclerosis )
第三種
当該療法のリスクについて、以下の通り検討した結果、第三種再生医療等技術に該当すると判断した。(1)政令の除外技術であるか→No(2)人の胚性幹細胞/人工多能性幹細胞/人工多能性幹細胞様細胞を利用するか→No(3)遺伝子を導入する操作を行った細胞を利用するか→No(4)動物の細胞を利用するか→No(5)投与を受ける者以外の人の細胞を利用するか→No(6)幹細胞を利用しているか→Yes(末梢血造血幹細胞(CD34陽性細胞)を使用する)(7)培養を行っているか→No(8)相同利用か→Yes(当該医療では、患者末梢血より採取したCD34陽性細胞を純化し、再び患者本人の血管内に投与することから、相同利用に該当する。)

(2)再生医療等の内容

重症全身性硬化症は皮膚硬化と多臓器病変を特徴とする自己免疫疾患であり、本邦の推定患者数は約3000人である。従来療法としてシクロホスファミドの間欠的点滴静注 (IVCY)が行われるが、合併症の改善は乏しく5年生存率は50~60%と予後不良である。新規治療法として自己造血幹細胞移植療法を併用した骨髄破壊的大量化学療法が開発されており、欧州および米国の臨床第III相試験では、それぞれ5年生存率が対照群である従来療法(IVCY)と比較して有意に優れていることが報告されている。本研究においては、本邦における重症全身性硬化症に対する自己造血幹細胞移植の有効性を検討する。
2
2017年08月01日
2023年07月31日
12
介入研究 Interventional
単一群 single arm study
非盲検 open(masking not used)
ヒストリカルコントロール historical control
単群比較 single assignment
治療 treatment purpose
16歳以上65歳未満の全⾝性硬化症の患者で、ECOGのPerformace Status 0から2のもののうち、以下のいずれかを満たすもの a) 発症4年以内、⽪膚硬化はスキンスコア15点以上で次のいずれかの症状を呈する場合。①肺合併症:胸部X 線検査または胸部CTにより間質性肺炎と診断され、呼吸機能検査にて努⼒肺活量(FVC)または⼀酸化炭素拡散能(DLCO )が80%未満である場合。②腎合併症:収縮期⾎圧160mmHg以上または拡張期⾎圧110mmHg以上、または検尿異常 (尿蛋⽩、尿潜⾎、尿沈渣)、または微⼩⾎管障害性溶⾎性貧⾎、またはクレアチニン上昇。③⼼合併症:可逆性⼼不全、または不整脈(上室性、⼼室性、AVブロック)、または⼼嚢液貯留 b)① 発症2年以内で躯幹の⽪膚硬化を含み、スキンスコアが20点以上、かつ②⾚沈25mm/1hr以上かつ/またはHb11g/dl 以下 A patient aged 16 to 64 who were diagnosed as systemic sclerosis with performance status (ECOG) 0 to 2. a) Within 4 years after onset and modified Rodnan total skin thickness score (mRSS) is 15 or more , and applicable to one of the following organ complication 1) Pulmonary complications: interstitial pneumonia diagnosed by chest X-ray examination or chest CT, and %FVC or %DLCO is less than 80%. 2) Renal complications: systolic blood pressure is 160 mmHg or more or diastolic blood pressure is 110 mmHg or more, urinalysis abnormality (urine protein, urine occult blood, urinary sediment ), microangiopathic hemolytic anemia, or elevated serum creatinine. 3) cardiac complications: reversible heart failure, or arrhythmia (supraventricular, ventricular, AV block), or pericardial effusion b) 1) Involvement of sclerosis to the trunk within 2 years after onset, mRSS is 20 or more, and 2) ESR is 25 mm/1h or more and/or Hb is 11 g/dL or less.
以下のいずれかの重症の臓器合併症が既に存在する場合。a)⼼:コントロール不能な不整脈が存在する場 合。コントロール不能な⼼不全が存在する場合 。エコー検査において左室拍出分画が50%未満 。中等症以上の肺⾼⾎圧(平均肺動脈圧40mmHg以上)を有する場合。b)肺:室内気でPaO2が60mmHg未満の場合 。%VCが50%未満の場合。⼀酸化炭素拡散能(DLCO)が20%未満である場合。c)腎:腎⽷球体濾過値が40ml/分未満の場合。⾎清クレアチニン値が2mg/dl以上の場合。d)悪性新⽣物の合併がありコントロールされていない場合。e)コントロール不能な感染症を有する場合。f)過去のシクロホスファミドの使⽤量が総計10g以上となる場合。 A patient with one of the following severe organ complication, a) Heart: uncontrollable arrhythmia, uncontrollable heart failure, LVEF is less than 50% in cardiac ultrasound examination, moderate or more pulmonary hypertension (mean pulmonary artery pressure is 40 mmHg or more) b) Lung: PaO2 is less than 60 mmHg at room air, %VC is less than 50%. %DLCO is less than 20%. c) Kidney: renal glomerular filtration rate is less than 40 ml/min, serum creatinine is 2 mg/dl or more. d) Uncontrolled malignant neoplasm. e) Uncontrollable infection. f) Cyclophosphamide is used more than 10 g in total.
16歳 以上 16age old over
65歳 未満 65age old not
男性・女性 Both
個々の対象者:以下の場合、試験責任医師および試験分担医師は本試験を中⽌する。a)重篤な有害事象の発現や合併症の悪化により、病態が急変もしくは死亡し、試験継続が困難となった場合。b)末梢⾎幹細胞採取において移植に必要な⼗分量の末梢⾎幹細胞(CD34陽性細胞として≧1x 10⁶/kg)が得られなかった場合。c)被験者より同意撤回もしくは試験中⽌の申し⼊れがあった場合。d)被験者の転居、転院などにより試験継続が困難となった場合。e)重⼤な臨床試験実施計画書違反が判明した場合(不適格症例への実施等)。f)その他、担当医師が中⽌と認めた場合。 臨床研究の中⽌基準: 試験責任医師は、規制当局の判断、九州⼤学病院特定認定再⽣医療等委員会および効果安全性評価委員会の決定、安全性の問題などにより、 本試験の中⽌が必要と認めた場合、中⽌を決定する。
全⾝性硬化症 systemic sclerosis
D012595
シクロホスファミド4g/m²とG-CSFを⽤いて造⾎幹細胞を末梢⾎へ動員し、アフェレーシスを実施後、CD34陽性造⾎幹細胞を免疫学的に分離する。移植前治療としてシクロホスファミド50mg/kgを連⽇4⽇間投与し、移植⽇に保存しておいたCD34陽性細胞2x10⁶/kg以上の移植を⾏う 。 After peripheral blood stem cell mobilization and aphereisi with cyclophosphamide 4 g/m2 and G-CSF, CD34+ cells were enriched by using anti-CD34 immunomagnetic beads. Conditioning was performed using high-dose cyclophosphamide (50 mg/kg) for 4 days, and freeze-thawed CD34+ cells were transplanted.
D036102
移植12ヶ⽉時におけるスキンスコアのベースラインからの変化量 The mean change in modified Rodnan skin score at 12 months after transplantation
移植12ヶ⽉時におけるスキンスコアが25%以上改善した症例の割合。移植12ヶ⽉時における努⼒肺活量(FVC)のベースラインからの変化量。移植12ヶ⽉時におけるKL-6のベースラインからの変化量。無イベント⽣存期間。全⽣存期間。有害事象発現割合。 The proportion of 25% improvement in skin score at 12 months. The mean change in forced vital capacity at 12 months. The mean change in serum KL-6 levels at 12 months. Event-free survival. Overall survival Incidence of adverse events.
重症全身性硬化症に対して、シクロホスファミド及びG-CSF投与により末梢血幹細胞を動員した後に採取し、CliniMACS®を用いてCD34陽性細胞を分離する。移植前治療として大量のシクロホスファミドを投与後、純化したCD34陽性細胞を自己輸注する。

2 人員及び構造設備その他の施設等

(1)人員及び構造設備その他の施設に関する事項

医師
赤司 浩一 Akashi Koichi
80380385
九州⼤学病院 Kyushu University Hospital
血液腫瘍心血管内科、免疫膠原病感染症内科
812-8582
福岡県福岡市東区⾺出3-1-1 3-1-1 Maidashi, Higashi-ku, Fukuoka 812-8582, Japan
092-642-5230
akashi@med.kyushu-u.ac.jp
自施設
・救急病床:32床 ・設備:X線装置、心電図、輸血・輸液装置等 ・各診療科毎に1名、救命救急センターには複数名のスタッフが24時間常駐 ・緊急手術体制あり ・24時間体制の院内検査あり

(2)その他研究の実施体制に関する事項

河野 佐知子 kawano sachiko
九州大学病院 Kyushu University Hospital
病院事務部 研究支援課
812-8582
福岡県福岡市東区⾺出3-1-1 3-1-1 Maidashi, Higashi-ku, Fukuoka 812-8582, Japan
092-642-5082
092-642-5008
byssien@jimu.kyushu-u.ac.jp
医師
赤司 浩一
九州大学病院
血液腫瘍心血管内科、免疫膠原病感染症内科
医師
新納 宏昭
九州大学大学院医学研究院
医学教育学講座
医師
中原 真希子
九州大学病院
皮膚科
医師
有信 洋二郎
九州大学病院
免疫膠原病感染症内科
医師
加藤 光次
九州大学病院
血液腫瘍心血管内科
医師
小野 伸之
九州大学病院
免疫膠原病感染症内科
医師
三苫 弘喜
九州大学病院別府病院
内科
医師
山内 拓司
九州大学病院
血液腫瘍心血管内科
医師
森 康雄
九州大学病院
血液腫瘍心血管内科
医師
綾野 雅宏
九州大学大学院医学研究院
がん幹細胞医学分野
医師
前田 高宏
九州大学病院
遺伝子細胞療法部
医師
平安山 知子
九州大学病院
遺伝子細胞療法部
医師
中原 剛士
九州大学大学院医学研究院
体表感知学講座
医師
木本 泰孝
九州大学病院
免疫・膠原病・感染症内科
九州大学病院 ARO次世代医療センター
高柳 直美
九州大学病院 ARO次世代医療センター
データサイエンス室
九州大学病院 ARO次世代医療センター
田中 千春
九州大学病院 ARO次世代医療センター
臨床研究品質管理室
九州大学病院 ARO次世代医療センター
岸本 淳司
九州大学病院 ARO次世代医療センター
九州大学病院 ARO次世代医療センター
豊﨑 佳代
九州大学病院 ARO次世代医療センター
九州大学病院 ARO次世代医療センター
豊﨑 佳代
九州大学病院 ARO次世代医療センター
臨床研究推進室

(3)多施設共同研究に関する事項

3 再生医療等に用いる細胞の入手の方法並びに特定細胞加工物等の製造及び品質管理の方法等

(1)再生医療等に用いる細胞の入手の方法(特定細胞加工物を用いる場合のみ記載)

患者自身から採取した末梢血中の幹細胞を体外でCD34陽性細胞の純化処理を行い、凍結保存した細胞。
再生医療等の提供を行う医療機関と同じ。
全身性硬化症患者自身(16歳以上65歳未満)から細胞採取する。適格基準の詳細は臨床試験実施計画書「3.適格基準 」のとおり。
適格基準に基づき、診察(PS、一般全身状態、理学所見、合併症・感染症の有無)、スキンスコア、日常生活質問票、臨床検査(末梢血検査、血液生化学検査、血液凝固検査、血清免疫検査、尿検査)、胸部X線、心機能検査、肺機能検査などを行い、適格性を確認する。詳細は臨床試験実施計画書「6.観察、検査項目」のとおり。
登録された被験者に対し、入院管理下でシクロホスファミド(2g/m² × 2日間)およびG-CSFにより末梢血幹細胞動員を行い、試験実施医療機関においてアフェレーシスを実施し末梢血幹細胞採取を行う。

(2)特定細胞加工物等の製造及び品質管理の方法(特定細胞加工物等を用いる場合のみ記載)

CD34陽性細胞
製造:アフェレーシスで採取した自己末梢血幹細胞からCliniMACS®(CD34陽性細胞分離装置、ミルテニーバイオテク社 製)を用いてCD34陽性細胞を閉鎖系で無菌的に分離する。分離したCD34陽性細胞は移植日までフリーザーコーナーのフリーザーにて-80℃で凍結保管する。
品質管理:分離前後の細胞について、総細胞数、CD34陽性細胞数、CD3陽性細胞数などを評価する。また、無菌試験をCD34陰性細胞で行う。詳細は「特定細胞加工物標準書」に規定する。
凍結保存していおいたCD34陽性細胞を37℃の恒温槽内で急速に解凍した後、病棟において洗浄することなく直ちに中心静脈ラインより輸注する。
国立大学法人九州大学
FC7140004
九州大学病院 細胞培養検査室
非該当

(3)再生医療等製品等に関する事項(再生医療等製品を用いる場合のみ記載)

(4)再生医療等に用いる未承認又は適応外の医薬品又は医療機器に関する事項(未承認又は適応外の医薬品又は医療機器を用いる場合のみ記載)

医薬品
適応外
シクロホスファミド
注射用エンドキサン
21300AMY00054
塩野義製薬株式会社
大阪府大阪府大阪市中央区道修町3丁目1番8号
医療機器
未承認
内蔵機能代用器
血球細胞分離用装置
なし
ミルテニーバイオテク株式会社
東京都江東区冬木16-10

4 再生医療等技術の安全性の確保等に関す措置

(1)利益相反管理に関する事項

① 再生医療等に対する特定細胞加工物等製造事業者からの研究資金等の提供その他の関与

国立大学法人九州大学

② 再生医療等に対する医療薬品等製造販売業者等からの研究資金等の提供その他の関与

塩野義製薬株式会社
ミルテニーバイオテク株式会社

③ 再生医療等に対する特定細胞加工物等製造事業者又は医療品等製造販売業者等以外からの研究資金

国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 Japan Agency for Medical Research and Development
非該当

(2)その他再生医療等技術の安全性の確保等に関する措置

海外における臨床試験欧州における臨床第III相試験(ASTIS Trial:CD34純化自己造血幹細胞移植の移植前治療としてシクロホスファミド(4日間で200mg/kg)および抗胸腺細胞免疫グロブリン(3日間で7.5mg/kg)使用において、治療開始後4年後の生存率は自己造血幹細胞移植群で83.5%、月1回のシクロホスファミド静注療法群で74.0%であり、自己造血幹細胞移植によって長期生存率が有意に向上することが示された。その一方で、治療開始後1年間の治療関連死については、シクロホスファミド静注療法群では認めなかったのに対して、自己造血幹細胞移植群では8例(10.2%)に認めていた。そのうち3 例は心合併症での死亡であり、左心機能低下例や肺高血圧の合併例では死亡率が高いことから、本試験ではこれらの症例を除外する。また、免疫抑制と関連すると思われるEBVの再活性化からの死亡例を1例、重篤な感染症からの死亡例を1 例で認めているほか、抗胸腺細胞免疫グロブリン投与中のショック、急性肺障害からの死亡を1例で認めた。本試験では、CD34陽性細胞純化によって自己反応性T細胞の再輸注は回避されることから抗胸腺細胞免疫グロブリンの投与は行わず、シクロホスファミド単剤を移植前化学療法に使用することとして易感染性の低減と抗胸腺細胞免疫グロブリンによる副作用の回避を行う方針としている。国内における臨床試験として、九州大学病院では2002年から2012年まで「難治性自己免 疫疾患に対する自己造血幹細胞移植の安全性と有効性を検討する臨床第I/II相試験」を行った。CD34純化自己造血幹細胞移植を施行した症例は全身性硬化症15例、皮膚筋炎2例、ウェゲナー肉芽腫症1例の計18例で、治療関連死は1例も認めなかったことより、本療法は安全に施行可能であることが示された。全身性硬化症15例の解析では、治療中の一過性の免疫低下に伴う感染症としてアデノウイルス膀胱炎20.0%、帯状疱疹40.0%、サイトメガロウイルス抗原血症53.3%、敗血症26.6%を認めた。心血管系では心不全を6.7%、不整脈を20.0%、 消化器症状として嘔気および食欲不振は全例で認めた。また、全身性硬化症15例の解析では、CliniMACSシステムを用いてCD34陽性細胞を純化することにより、移植片中のリンパ 球は1%未満となった。純化したCD34陽性細胞のみを移植後 、好中球が500/µL以上に回復するのに要した平均日数は13.1日、血小板が5万以上に回復するのに要した平均日数は13 .5日であり、通常の生着がみられた。また、全身性硬化症に対する臨床効果として、皮膚硬化に関して移植後早期より有意な改善が認められ、指標となるスキンスコアでは5年後まで平均で約70%の改善が持続した。間質性肺炎については 移植後緩徐な改善傾向を示し、4年後以降有意な肺活量の増加を示した。5年生存率は80.0%と大幅な予後の改善が認められた。また九州大学病院では前述の試験の中で、非純化自己造血幹細胞移植も施行した。対象は全身性硬化症8例、皮膚筋炎1 例の計9例であった。全身性硬化症症例について純化自己造血幹細胞移植群と非純化自己造血幹細胞移植群を比較したところ、両群で移植後の血球系の回復に関して有意な差を認めなかった。また、純化自己造血幹細胞移植ではウイルス感染の頻度が高くなるものの、抗ウイルス薬にてコントロール可能であり、皮膚硬化や間質性肺炎に対する有効性において優っていたため、本試験では純化自己造血幹細胞移植を選択した。なお、本特定細胞加工物に関する非臨床安全性試験のデータは無いが、自家移植であり、免疫反応、感染等のリスクが低いと考えられることや、上述のとおり既にヒトでの利用実績が豊富であること、過去の臨床試験成績からリスク管理可能であると考える。
対象疾患である全身性硬化症は有効な治療法が確立されておらず、九州大学病院および欧米での臨床試験の結果から造血幹細胞移植の治療効果が示唆されている。予想される不利益として、被験者への使用薬剤(シクロホスファミド、G-CSF)、自己末梢血幹細胞採取、CliniMACS・CD34試薬、自己造血幹細胞移植(CD34陽性細胞移植)による有害事象が挙げられる。予想される利益は、スキンスコアの改善、間質性肺炎の改善、5年生存率の改善などである。造血幹細胞移植を行わない場合、原疾患の悪化が懸念されるが、本臨床研究への参加により利益が不利益を上回ると予想される。また、症例数については、統計的な根拠に基づき設定している。加えて、緊急時の被験者の安全性確保体制、効果安全性評価委員会による試験継続の可否判断を実施する体制を整えている。以上より、当該臨床試験の実施は妥当であると判断した。
当該細胞加工物が完成した際、出荷判定基準を満たしていることを製造管理責任者、品質管理責任者が書面で確認し、承認を行う。最終的な出荷の可否については、品質管理責任者が判断する。出荷の承認を受けたのち、移植実施までに最終的な移植の可否について試験責任医師が判断する。
細胞の安全性に関する疑義が生じた場合は、研究代表者を介して、効果安全性委員会、再生医療等委員会に報告を行い、試験継続の可否を検討する。その結果をもって、研究代表医師が試験中止の決定を行う。
研究代表医師は疑義について研究責任医師と共有し、他の被験者の状態を確認し、影響の有無を調査する。CliniMACSで分離した移植用のCD34陽性細胞の一部およびCD34陰性細胞の一部を保管試料として凍結保存しており、本試験に起因するものと疑われる有害事象(感染症等)が発生した場合、保管試料について無菌試験等の検査を実施し、移植した造血幹細胞の汚染、製造工程での混入の有無について確認する。
CliniMACSで分離した移植用のCD34陽性細胞の一部およびCD34陰性細胞の一部を、それぞれ全症例の観察期間終了まで各試験実施機関において-80℃で保存する。
保存期間終了後は、被験者個人情報を除いた上で医療廃棄物として廃棄する。
疾病等の発生情報を入手した研究分担者およびその他の研究協力者は、研究責任医師の下、被験者の安全性確保のため必要な措置を直ちに講じる。 重篤な有害事象は因果関係の有無に関わらず、研究責任医師は認知から24時間以内に施設管理者、研究代表者へ報告しなければならない。 本臨床研究に従事しない第三者で構成される効果安全性評価委員会は、当該重篤な有害事象と①当該再生医療の提供または②当該再生医療の提供によるものと疑われる感染症との因果関係の有無、および臨床研究継続の可否を審議・判断する。すべての重篤な有害事象は、観察期間内は転帰を確認するまで追跡する。ただし、観察期間内に転帰が確認できない場合などは、試験責任医師の判断により観察期間終了後も 追跡調査を実施する。また、重篤でない当該再生医療の提供によるものと疑われる疾病の発生等は、期間ごとにまとめて九州大学病院長を経由し、特定認定再生医療等委員会に報告する。
詳細は別途「安全性情報取り扱い業務手順書」に規定する。
再生医療等の提供後、12ヶ月間を本試験の観察期間とする。また、観察期間終了後の60ヶ月(5年)までを追跡調査期間とし、別途、観察研究での追跡を行う。 試験責任(分担)医師は、すべての重篤な有害事象について、観察期間内は追跡を行い、転帰を確認する。観察期間終了後は試験責任医師の判断により追跡調査を実施する。
被験者名と被験者識別コードを結びつける対応表は、研究責任医師の管理下で厳重に保管する。電子カルテの登録情報から被験者の連絡先は確認可能である。加えて、再生医療等の提供後12ヶ月間は本試験の観察期間であり、観察期間終了後の60ヶ月(5年)までは追跡調査期間とし、別途、観察研究での追跡を行う。試験責任(分担)医師は、すべての重篤な有害事象について、観察期間内は追跡を行い、転帰を確認する。観察期間終了後は試験責任医師の判断により追跡調査を実施する。
2017年08月01日
2019年01月04日
募集終了 Not Recruiting

5 細胞提供者及び再生医療等を受ける者に対する健康被害の補償の方法

細胞提供者について(特定細胞加工物を用いる場合のみ記載)

再生医療等を受ける者について

6 審査等業務を行う認定再生医療等委員会に関する事項

九州大学病院特定認定再生医療等委員会 Kyushu University Certified Special Committee for Regenerative Medicine
NA8150001
福岡県福岡市東区馬出3-1-1 3-1-1 Maidashi, Higashi-ku, Fukuoka 812-8582, Japan, Fukuoka
092-642-5063
byshasiwatas@jimu.kyushu-u.ac.jp
第一種再生医療等又は第二種再生医療等を審査することができる構成
2016年12月05日

7 その他

九州大学 個人情報管理規定および九州大学病院 個人情報 保護規定に基づき管理し、採取した検体、試験結果は被験者 名を識別できないように取り扱う。 同意取得を行った患者は適格基準の合否に関わらず、本試験 の被験者として順に被験者識別コードを付与し、被験者識別コード一覧表に記載する。症例報告書、回収するデータ、特定認定再生医療等委員会および厚生労働省への提出資料、保管する検体など、本試験に関するデータはすべて被験者識別コードで記載し、被験者氏名およびカルテ番号などの被験者が特定可能な情報は用いない。
本臨床研究に関わる医師等は九州大学病院臨床研究認定制度に基づき、新規認定講習を受講し合格した後、年に1度以上必要な教育研修を継続して受講する。当該院内講習に、再生医療等の関係法規および臨床研究制度についても含まれる。また、本臨床研究の内容については、スタートアップミーテ ィングを開催し、臨床研究実施計画や法規制の順守について関係者への周知を徹底する。
同意説明文書において、研究を実施する九州大学病院・血液 腫瘍内科、免疫膠原病感染症内科の連絡先、および九州大学病院臨床研究推進部門の臨床研究コーディネーターの連絡先を被験者へ提示する。
非該当
なし none
非該当
非該当
非該当
UMIN000028381
UMIN臨床試験登録システム UMIN Clinical Trials Registry

添付資料

4 再生医療等を受ける者に対する説明文書及び同意文書の様式 0405-1_同意説明文書_第4.1版・別紙230330.pdf

変更履歴

種別 公表日
中止 令和7年5月26日 (当画面) 変更内容
軽微変更 令和5年5月30日 詳細 変更内容
変更 令和5年4月27日 詳細 変更内容
届出外変更 令和4年12月26日 詳細 変更内容
軽微変更 令和4年9月2日 詳細 変更内容
変更 令和4年8月23日 詳細 変更内容
軽微変更 令和4年3月18日 詳細 変更内容
変更 令和3年10月26日 詳細 変更内容
新規登録 令和2年1月9日 詳細