再生医療等提供計画情報の詳細情報です。
第二種 | ||
令和2年3月11日 | ||
令和5年3月13日 | ||
令和4年3月30日 | ||
変形性股関節症に対するPRP関節内注射療法の疼痛改善効果に関する臨床研究 | ||
変形性股関節症に対するPRP関節内注射療法の疼痛改善効果に関する臨床研究 | ||
高知大学医学部附属病院 | ||
花﨑 和弘 | ||
疼痛スコアを主要評価項目として、本邦における股OA 診療ガイドラインにおいて推奨gradeCである HA関節内注射(対照製品)と比較検証することにより、股OAに対する複数回PRP関節内注射(被験製品)治療の安全性・有用性を明らかにする。その上で、股OAに対する保存療法として確立し、自由診療として患者の選択肢の一つとすることである。 | ||
3 | ||
変形性股関節症 | ||
研究終了 | ||
CONCIDE特定認定再生医療等委員会 | ||
NA8160002 |
管理者(多施設共同研究として実施する場合は代表管理者) | ||
氏名:執印 太郎 | ||
氏名:花﨑 和弘 | ||
令和4年4月1日 |
管理者(多施設共同研究として実施する場合は代表管理者) | ||
Name:Taro Shuin | ||
Name:Kazuhiro Hanazaki | ||
令和4年4月1日 |
令和5年3月7日 | |||
jRCTb060190038 | |||
高知大学医学部附属病院 | |||
高知県南国市岡豊町小蓮185番地1 | |||
花﨑 和弘 | Kazuhiro Hanazaki |
変形性股関節症に対するPRP関節内注射療法の疼痛改善効果に関する臨床研究 | Intra-articular Platelet-rich plasma for Hip Osteoarthritis in Kochi medical school( IPHOK study ) | ||
変形性股関節症に対するPRP関節内注射療法の疼痛改善効果に関する臨床研究 | Intra-articular Platelet-rich plasma for Hip Osteoarthritis in Kochi medical school( IPHOK study ) | ||
第二種 | |||
変形性股関節症に対するPRP関節内注射療法は患者自身の末梢血を遠心分離し培養せずに用いる医療技術であり、胚性幹細胞/人工多能性幹細胞/人工多能性幹細胞様細胞の利用、遺伝子導入操作、投与を受ける者以外の細胞の利用、動物細胞の利用、幹細胞の利用および培養操作の一切を行わない。 また、変形性股関節症に対するPRP関節内注射療法は末梢血を遠心分離し関節内へ投与するため相同利用ではない。そし て、人の身体の構造又は機能の再建、修復又は形成を目的としている。 「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」 、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行令」及び 「再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行規則」の取扱いについて(平成26 年10月31 日付け医政研発1031第1号厚生労働省医政局研究開発振興課長通知)」の図2(第一種・第二種・第三種再生医療等技術のリスク分類)に基づき、変形性股関節症に対するPRP関節内注射療法を第二種再生医療等技術と判断した。 |
疼痛スコアを主要評価項目として、本邦における股OA 診療ガイドラインにおいて推奨gradeCである HA関節内注射(対照製品)と比較検証することにより、股OAに対する複数回PRP関節内注射(被験製品)治療の安全性・有用性を明らかにする。その上で、股OAに対する保存療法として確立し、自由診療として患者の選択肢の一つとすることである。 | |||
3 | |||
2019年01月29日 | |||
2022年03月31日 | |||
40 | |||
介入研究 | Interventional | ||
無作為化比較 | randomized controlled trial | ||
二重盲検 | double blind | ||
実薬(治療)対照 | active control | ||
単群比較 | single assignment | ||
治療 | treatment purpose | ||
① 同意取得時 20 歳以上 80 歳未満の女性 ② ACR 基準を満たす変形性股関節症患者 ③ 他施設で撮影したものを含め 3 ヶ月以内のレントゲン画像より Kellgren and Lawrence grade 1-3 に該当するもの |
20 years or older women younger than 80 years To satisfy standards determined by ACR clinical classification criteria for osteoarthritis of the hip Kellgren and Lawrence grade 1-3 with radiographs |
||
① 試験製品投与対象側に何らかの股関節手術を施行されているもの ② 関節リウマチ患者 ③ 大腿骨頭壊死患者 ④ 血液凝固障害を有するもの(抗血小板薬等服用患者を含む) ⑤ BMI 30 以上 ⑥ 患者立脚型評価が出来ないと主治医が判断したもの ⑦ 同意の得られないもの ⑧ 以上の他、医師が不適格と判断したもの |
post operative cases rheumatoid Arthritis cases osteonecrosis cases Blood coagulation disorder cases Impossible to evaluate of patients-based outcome BMI is more than 30 No consent is obtained |
||
20歳 以上 | 20age old over | ||
80歳 未満 | 80age old not | ||
女性 | Female | ||
〈研究対象者個々の研究の中止基準〉 実施責任者または研究分担者は、被験者が下記の中止基準に該当すると判明した場合には、その旨を被験者に説明し、当該被験者の研究継続を中止する。なお試験製品投与後に中止の場合には、安全性を確認し、その後の被験者の治療については、被験者の不利益とならないよう、誠意を持って対応する。有害事象により中止した被験者については、必要に応じ適切に処置を実施し、因果関係が否定できないもの以外は、その有害事象の転帰が確認できるまで、追跡を実施する。 また、中止の場合にはそれまでに提供していただいた検体やデータは引き続き使用をさせていただく場合があることも同意説明の際に説明する。 ※1)の場合は、同意撤回書をいただく際にデータ等の使用について、意思の確認を行う。 1) 同意の撤回があった場合 2) 研究への継続参加の辞退があった場合(その後の全ての観察の拒否) 3) 選択/除外基準への不適合が発覚した場合 4) 死亡(原因を記録する)や、重篤な有害事象が生じた場合 5) 研究担当医師により中止が妥当的と判断した場合 6) 本臨床研究全体が中止となった場合 〈研究全体の中止基準〉 実施責任者は、以下の事項に該当する場合は研究実施継続の可否を検討する。 1. 当該特定細胞加工物の品質、安全性、有効性に関する重大な情報が得られたとき。 2. 対象者の募集が困難で予定症例を達成することが困難であると判断されたとき。 3. 予定症例数または予定期間に達する前に研究の目的が達成されたとき。 4. 特定認定再生医療等委員会が中止すべき意見を述べ、医療機関の管理者が中止を決定した時や厚生労働省大臣から停止を命ぜられたとき。 |
|||
変形性股関節症 | Osteoarthritis of the hip | ||
有 | |||
投与担当者はPRP投与群、HA投与群に関わらずPRP精製用採血90mLを行う。PRP精製用採血は手順書に従い、50mlのシリ ンジ1本に対し血液凝固防止剤として「輸血用チトラミン」 を吸引して行う。 (1)PRP投与群 PRP1mLに局所麻酔薬(1%キシロカイン)1 mLを混入し2mLとして使用する。 (2)HA投与群 HA2.5 mL市販されているHA関節内注射薬( ヒアロス関節注2.5㎎)を投与する。 |
The patients are performed drawing blood of 90 ml in both groups.The Citramin Solution are mixed as blood clotting inhibitor for one syringe of 50 ml. (1)Intra-articular 1ml of platelet-rich plasma and 1ml of Lidocain (1%) injections for hip joint (2)Intra-articular 2.5ml of hyaluronic acid injections for hip joint |
||
WOMAC(Pain 評価)のベースラインからの変化率 Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index (WOMAC) | Rate of change of Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index (WOMAC) -Pain | ||
各項目のベースラインからの変化率 ①~⑦まで高知大学医学部附属病院整形外科で使用している評価シートを使用する ① Pain VAS ② WOMAC-Stiffness ③ WOMAC-Physical Function ④ 日本整形外科学会股関節判定基準 ⑤ 日本整形外科学会股関節疾患評価質問票 ⑥ Harris Hip Score ⑦ Oxford Hip Score ⑧ 鎮痛剤使用頻度 ⑨ 軟骨骨代謝マーカー(尿中 CTX-Ⅱ)PRP 投与群/HA 投与群 各5例) MRI 撮影/尿中 CTX-Ⅱの同意を得られた被験者を対象とする ⑩ MRI T1ρ (PRP 投与群/HA 投与群 各5例) MRI 撮影/尿中 CTX-Ⅱの同意を得られた被験者を対象とする |
Pain VAS WOMAC-Stiffness WOMAC-Physical Function Japanese Orthopaedic Association hip score and Harris hip score Japanese Orthopaedic Association Hip-Disease Evaluation Questionnaire Harris Hip Score Oxford Hip Score Use of pain-killer frequency CTX-2 MRI |
||
別添の通り |
医師 | |||||
池内 昌彦 | Ikeuchi Masaiko | ||||
高知大学医学部附属病院 | Kochi Medical School Hospital | ||||
整形外科 | |||||
783-8505 | |||||
高知県南国市岡豊町小蓮185番地1 | 185-1 Kohasu, Oko-cho, Nankoku, Kochi 783-8505, Japan | ||||
088-880-2386 | |||||
im35@kochi-u.ac.jp | |||||
自施設 | |||||
高知大学医学部附属病院集中治療部 集中治療室(ICU)12床、 ハイケアユニット(HCU) 4床、 X線装置、MRI、CT、人工呼吸器、心拍呼吸モニターなど、 救急医療に対応できる施設・設備を有する。 |
岡上 裕介 | Okanoe Yusuke | ||||
高知大学医学部附属病院 | Kochi Medical School Hospital | ||||
整形外科 | |||||
783-8505 | |||||
高知県南国市岡豊町小蓮185番地1 | 185-1 Kohasu, Oko-cho, Nankoku, Kochi 783-8505, Japan | ||||
088-880-2386 | |||||
088-880-2388 | |||||
im35@kochi-u.ac.jp |
医師 | ||
岡上 裕介 | ||
高知大学医学部附属病院 | ||
整形外科 |
医師 | ||
泉 仁 | ||
高知大学医学部附属病院 | ||
整形外科 |
医師 | ||
阿漕 孝治 | ||
高知大学医学部附属病院 | ||
整形外科 |
高知大学医学部附属病院 | ||
田井 麻美 | ||
高知大学医学部附属病院 | ||
次世代医療創造センター |
高知大学医学部附属病院 | ||
村上 武 | ||
高知大学医学部附属病院 | ||
次世代医療創造センター |
高知大学医学部附属病院 | ||
黒岩 朝 | ||
高知大学医学部附属病院 | ||
次世代医療創造センター |
高知大学医学部附属病院 | ||
池内 昌彦 | ||
高知大学医学部附属病院 | ||
整形外科 |
無 |
多血小板血漿 | |
高知大学医学部附属病院 | |
下記の①②により選定を行う ① 細胞提供者の健康状態 変形性股関節症に対するPRP関節内注射療法は患者自身の細胞を用いるため、細胞提供者の選定方法における健康状態についての除外基準は再生医療等を受けようとする者と同じである。 ② 細胞提供者の年齢 同意取得時20歳以上80歳未満の女性 |
|
下記の総合評価により適格性を確認する <スクリーニング検査> ① 血液学的検査 :WBC・RBC・Hb・Hct・MCV・MCH・MCHC ・Plt・WBC 分画 ② 生化学的検査 :TP・ALB・T-Bil・GOT (AST)・GPT (ALT)・γ-GTP・CPK・ BUN・CRE・LDH ③ 感染症検査: 梅毒(TP-Ab抗体)・HBs 抗原・HBc 抗 体・HBs 抗体・HCV 抗体・HTLV-1抗体・HIV抗原/抗体・CMV 抗体 ④ 凝固系検査: PT・APTT ⑤ 被験者情報:過去5年の既往歴、アレルギー歴、合併症 |
|
投与担当者はPRP投与群、HA投与群に関わらずPRP精製用採血90mLを行う。PRP精製用採血は手順書に従い、50mlのシリンジ1本に対し血液凝固防止剤として「輸血用チトラミン」 を吸引して行う。採血後、搬送の手順に従い特定細胞加工物 製造事業者に冷蔵搬送する。 HA群に関しては同様に採血を行い特定細胞加工物製造事業者に送付後、感染性廃棄物として適切に廃棄する。 |
多血小板血漿(Platelet Rich Plasma; PRP) | ||
①採取した細胞の加工方法 (1)採血後の血液を委託先細胞培養加工施設指定の輸送方法に従い、委託先細胞培養加工施設へ輸送する。 (2)委託先細胞培養加工施設において血液の受入検査を実施する。 (3)受入検査に適合した血液を低加速度遠心分離により血漿層と血球層に分離する。 (4)無菌的に血漿を分取する。この時、血漿を採取し、血小板数測定を行う。 (5)分取した血漿を高加速度遠心分離により血小板ペレットと貧血小板血漿(Platelet Poor Plasma; PPP)に分離する 。 (6)無菌的に血小板ペレットとPPPの総和量が採血量の1/20となるように上清であるPPPを別のチューブに移す。この時 、PPPを採取し、血小板測定を行う。 (7)別チューブに分取したPPPを保管品とする。 (8)容量調整した血小板ペレットとPPPを混和し、特定細胞加工物である多血小板血漿(PRP)とする。 (9) 滅菌バイアル瓶1本あたり1.0mLのPRPを無菌的に3本に充填し、容量検査を行う。 (10)1.0mLのPRPを無菌試験の検体として分取し、日本薬局方に準拠した方法で無菌試験を行う。また、EGF濃度を測定するために0.5mLを使用する。 (11)容量検査に適合したPRPを委託先細胞培養加工施設の保管庫内の冷凍庫で最大12週間保管する。 (12)HA投与群(対照群)から採血した血液も特定細胞加工物 製造事業者に冷蔵で搬送後、適切に廃棄する。 (13)容量検査および無菌試験の結果を含むPRPについての品質検査証明書を受け、再生医療等を行う医師が出荷可否を決定する。 (14)凍結したPRPを委託先細胞培養加工施設指定の方法で本院に輸送する。 ② 特定細胞加工物等の保管方法 (1)特定細胞加工物であるPRPは滅菌バイアル瓶に充填した状態で委託先細胞培養加工施設の保管庫内の冷凍庫で最大12週間保管する。 (2) 本院においては凍結PRPが到着後、PRPを冷凍で保存する。使用時は冷蔵に移すなどを行い解凍し、解凍後は7日以内に適用部位にPRPを投与する。 (3)保管品であるPPPは保存用チューブに入れ密栓し委託先 細胞培養加工施設の保管庫内の冷凍庫で臨床研究終了後より1年間保管する。 ③ 試験検査の方法 (1) 容量検査:標準容量の滅菌水が充填された滅菌バイアル瓶と比較し、目視にて滅菌バイアル瓶内のPRP容量が同量であることを確認する。 (2) 無菌試験:細胞加工の方法(10)で分取したPRPについて 日本薬局方に準拠した方法で無菌試験を行う。 (3) 血小板数検査(参考値):細胞加工の方法(4)で分取した血漿と細胞加工の方法(6)で分取したPPPについて、自動血球計算機を用いた血小板数の測定を行う。血漿中の血小板数からPPP中の血小板数を差し引き、PRPの血小板数を算出する。この検査は参考値とし、特定細胞加工物の出荷可否判断には使用しない。 (4) EGF濃度測定(参考値):細胞加工の方法(10)で分取したPRPについてELISA法を用いて測定する。この検査は参考値とし、特定細胞加工物の出荷可否判断には使用しない。 |
||
整形外科外来で、PRP投与群は、PRP1mLに局所麻酔薬(1%キシロカイン)1mLを混入し2mLを、HA投与群は、HA2.5 mL 市販されているHA関節内注射薬(ヒアロス関節注2.5㎎)を投与する | ||
有 | ||
FSTEC 細胞プロセシングセンター | ||
FA3150002 | ||
FSTEC 細胞プロセシングセンター | ||
「製造及び品質管理の方法の概要」欄内の細胞の加工方法において、(2) 血液の受入検査実施から(14)凍結したPRPの本 院への輸送までと、特定細胞加工物等の保管における凍結PR Pと保管品PPPの保管および全ての試験検査を委託する。 |
無 | ||
無 | ||
無 | ||
無 |
無 | ||
無 | ||
無 | ||
無 |
有 | ||
公益財団法人日本股関節研究振興財団 | Hip Joint Foundation of Japan | |
非該当 |
【非臨床安全性評価に関する情報】 聖マリアンナ医科大学など5施設において、本再生医療等提供計画と同様の製造方法で製造された自己多血小板血漿を用いた「多血小板血漿を用いた難治性皮膚潰瘍治療」が先進医療A暫定として実施されている。また、自己多血小板血漿は国内外含め、歯科、形成外科、整形外科において、既にヒトでの利用実績が豊富なため、非臨床安全性試験の評価は不要である。 【ヒトへの使用経験、臨床試験成績に関する報告等】 ① 国内/試験名 PRP(platelet-rich plasma; 多血小板血漿)を使用した皮膚潰瘍治療の検討/試験デザイン単群/被験者数 41例/結果の要約:治癒群の平均で1.3ヶ月、未治癒群での治療継続期間は4ヶ月。面積ではGradeⅢが23部位、GradeⅡが27部位、GradeⅠが15部位、Grade0が9部位。期間で はGrade5が11症例、Grade4が10症例、Grade3が12症例、Grade2が6症例、Grade1が2症例、Grade0はなし。(三宅ヨシカズ、日本形成外科学会会誌、29巻、65〜72ページ、2009年) ② 海外/試験名 Efficacy of Concentrated Autolougous Platelet-Derived Growth Factors in Chronic Lower-Exre mity wounds./試験デザイン 単群/被験者数 33例/結果の要約:PRGF群で治癒面積の平均縮小率が72.94% ±22.25%、対照群(p < 0.05)は21.48% ±33.56%(McAleer JP、J Am Podiatr Med Assoc.、96巻6号、482〜488ページ、2006年) ③ 国内/試験名 しわに対するPRP(多血小板血漿)注入の 効果と評価/試験デザイン 単群/被験者数 10例/結果の要約 :下眼瞼、外眼角部に対しては10 例中7例で改善を認め、自己評価でも10例中8例が良好であるとの評価であった。法令線に対しては10例中2例で改善を認め、自己評価では10例中3 例が良好であるとの評価であった。(三宅ヨシカズ、第51回日本形成外科学会総会・学術集会、口頭発表、2008年) 国内外含め、歯科、形成外科、整形外科において、既にヒトでの利用実績が豊富であるため、安全性が確保されていると判断した。 |
||||||
現在、本邦では4人に1人が65歳以上という超高齢社会を迎えており、それに伴い加齢に伴う退行変性を基盤とした骨・関 節疾患が今後も増加することが予想される。なかでも、下肢関節は荷重関節であるためかかる力学的ストレスは非常に大きく、痛みが生じると歩行障害を起こし、ADL(activities of daily living:日常生活動作)の制限やQOL(quality of life)の低下をきたす。本邦における慢性痛のアンケート調査では、股関節部痛が2.4%、膝関節部痛が10.7%に存在すると報告されている1)。股関節の慢性痛を来す疾患の中で最も頻度が高いのは変形性股関節症である。本邦での有病率 は、1.0〜4.3%と報告されており、80%以上が発育性寬骨臼形成不全による二次性変形性股関節症である2)。寬骨臼形成不全により、寬骨臼側の荷重面積が減少しているために応力の集中を認め、また骨頭の外上方への不安定性も相まって関節破壊が経時的に進行する。 慢性痛を主訴とする関節疾患の治療は、薬物療法や運動療法等からなる保存的療法と、骨切り術や人工関節置換術等の観血的治療に大別される。薬物療法に関しては、非ステロイド 系消炎鎮痛剤(NSAIDs)が第一選択となることが多い。しかし、変形性関節症などの慢性関節痛疾患に関しては、炎症性疼痛の要素が少ない荷重時や運動時の軽度〜中等度の痛みに対してはアセトアミノフェンの選択が考慮され、他の薬剤が使用不能(あるいは効果不十分)な場合には、オピオイドも選択肢となる。運動療法に関しては、股関節の安定化に寄与するとされる腸腰筋、股関節深層筋の筋力訓練や股関節周囲 筋のストレッチング、体重コントロール(BMI<25)が有効とされている3)。しかしながら、これらの保存的治療は病期進行予防の効果に対するエビデンスは少なく、保存的治療に抵抗する症例も少なくない。観血的治療に関しては、関節温存術と人工関節置換術に大別される。関節温存術には、寬骨臼回転骨切り術、キアリー骨盤骨切り術等があげられる。 いずれも、発育性寬骨臼形成不全症例に行われ、荷重面積を増加させることにより応力を分散させ、また関節を安定させ ることにより除痛や関節症の進行を予防することが可能とな る。一方、人工股関節全置換術は、除痛効果、可動性に優れ、変形性股関節症患者のQOLを著しく改善させることのできる優れた手術方法である。また、骨切り術に比べて圧倒的に後療法に必要な期間が短いという利点もある。しかし、術後感染や無菌性のゆるみによる耐用年数の問題もあり、適応は比較的高齢で、病期の進行した症例に行うのが望ましいとされている。また、いずれの観血的治療においても患者への侵襲は大きく、その適応は十分に吟味すべきである。 以上より、既存治療には一定の問題点が存在するが、日常診療においては観血的治療を必要とする患者よりも保存的治療を必要とする患者が圧倒的に多く、またどのような患者もできるだけ手術はしたくないし、できる限りの保存的治療を行ってほしいと思っているのが現状である。しかし、保存的治療としての鎮痛に使用されるNSAIDsには消化管障害や腎機能障害の副作用があり、またヒアルロン酸製剤やステロイド剤の関節内注射は効果が限定的で組織を損傷する副作用があるため、それらに替わる新たな治療法として注目されているのが、多血小板血漿(PRP :Platelet Rich Plasma)療法である。 PRP療法とは、治療を受ける患者から血液を採取し、遠心によって血液中にある血小板のみを分離し、血小板濃度を高く濃縮して精製した自己PRPを患部に注射する治療方法である 。PRPを損傷した組織に注射することで人体の自然治癒過程を活性化させ、治癒・再生速度を上げることが可能であると報告されている4)。PRP療法はその有効性がすでに国内外で多数の報告がなされており5-7)、近年、OA(osteoarthriti s:変形性関節症)に対する新たな保存治療としてPRP関節内 注射治療の疼痛軽減・機能改善効果が報告されてきているが 、その多くが変形性膝関節症(膝OA)に対するものであり、 変形性股関節症(股OA)に対する報告は少なく、国内での報告は未だ存在しない8-11)。 本臨床研究の目的は疼痛スコ アを主要評価項目として、本邦における股OA診療ガイドライ ンにおいて推奨grade CであるHA関節内注射(対照製品)と 比較検証することにより、股OAに対する複数回PRP関節内注射(被験製品)治療の安全性・有用性を明らかにする。 参考資料 1)日本整形外科学会運動器疼痛対策委員会(編): 運動器 慢性痛診療の手引き,南江堂, 2013 2)日本整形外科学会診療ガイドライン委員会(編): 変形性股関節症診療ガイドライン 改訂第2版, 南江堂, 2016 3)岡上裕介, 他:診断と治療のABC 114 慢性疼痛疾患: 20 5-21, 2016 4)Zhu Y, et al.: Basic science and clinical application of platelet-rich plasma for cartilage defects and osteoarthritis: a review. Osteoarth Cart.21:1627-3 7,2013 5)Savoie FH, III, et al.: Medialulnar collateral l igament reconstruction using hamstring allograft in overhead throwing athletes. J Bone Joint Surg Am. 95 (12) :1062-1066,2013 6)Sanchez M, et al.: Platelet-rich therapies in the treatment of orthopaedic sports injuries. Sports Med. 39(5) :345–354, 2009 7)吉岡友和, 他 : 筋・腱付着部損傷の治療-PRP局所注入. MB Orthop 27(9):41-48,2014 8)Cerza F, et al. Comparison between hyaluronic acid and platelet-rich plasma, intra-articular infiltratio n in the treatment of gonarthrosis. Am J Sports Med. 40:2822-7,2012 9)Vaquerizo V, et al.: Comparison of intra-articular injections of plasma rich in growth factors (PRGF-En doret) versus Durolane hyaluronic acid in the treatm ent of patients with symptomatic osteoarthritis: a ran domized controlled trial. Arthroscopy. 29:1635-43,20 13 10)Dallari D, et al.: Ultrasound-guided injection of platelet-rich plasma and hyaluronic acid, separately and in combination, for hip osteoarthritis: a randomi zed controlled study. Am J Sports Med. 44:664–71, 20 16 11)Di Sante L, Villani C, Santilli V, Valeo M, Bolo gna E, Imparato L, et al. Intra-articular hyaluronic acid vs platelet-rich plasma in the treatment of hip osteoarthritis. Med Ultrason. 18:463–8, 2016 |
||||||
① 決定を行う時期 原則として、委託先細胞培養加工施設から製造された多血小板血漿(PRP)に対する無菌試験の結果および容量検査の結果を記した品質検査証明書を本院が受け取り次第、速やかに投与の可否決定を行う。 ② 決定を行う者 多血小板血漿の投与の可否判断の決定は再生医療等を行う医師が行う。 ③ その他 無し。 |
||||||
細胞の安全性には十分に留意を行うが、研究対象者の症状の観察を行い細胞の安全性に関する疑義が生じた場合は、被験者への投与を中止し、疾病等の取り扱いに準じ適切に対応を行う。安全性が確認され、プロトコールに逸脱しない期間であれば投与を行う。 〈疾病等の取り扱い〉 1)再生医療等を行う医師は疾病等の発生を知ったときは、医療機関の管理者及び実施責任者に対し、速やかに報告する。 2)医療機関の管理者又は実施責任者は、再生医療等を行う医師に対し、当該再生医療等の中止その他の必要な措置を講ずるよう指示する。 3)医療機関の管理者又は実施責任者は、特定細胞加工物を製造した特定細胞加工物製造事業者に速やかに通知する。 ①安全性に疑義が生じた場合の報告体制 本再生医療等計画で、細胞の安全性に疑義が生じるのは、ア.当院で採取した血液を特定細胞加工物製造事業者に冷蔵搬送及び特定細胞加工物製造事業者がPRP製品を当院に冷凍搬送する際の事故、イ.特定細胞加工物製造事業者が精製時の一部を用いて行う無菌検査が陽性、ウ.到着後の当院での保管の不備の場合が考えられる。 ア.は、冷凍搬送は宅配業者が行うが特定細胞加工物製造事業者は血液受領後、受入検査を行い品質を確認し、当院は適切に冷凍されていることを確認する。イ.は、無菌試験開始から14日後に結果が判明し、陰性と判定したもののみを使用可としている。ウ.は、当院への到着後-18℃以下の冷凍保存がされていたことを確認する。 いずれの結果も速やかに実施責任者に報告され、細胞の安全性に関する疑義が生じた場合は、確認を行い研究への参加の可否を決定する。 ②再生医療等の提供の可否決定の手段(誰がどの時点で判断するか) 実施責任者は、投与日までに、すべての選択基準に該当し、除外基準に該当しない適正な被験者から同意撤回の申し出がない時、PRP投与の可否を決定する。 ③既に当該再生医療等が提供された患者の状態把握の手段 被験者の連絡先を把握し、併せて当院の24時間対応の連絡先を伝えておく。 ④必要な経過観察等の対応(投与した場合の経過観察期間) 投与後8週、12週、16週に、VAS及び評価、血液検査、鎮痛剤使用頻度の調査を行う。 投与後24週を最終観察とする。 血液検査 血液学的検査:WBC・RBC・Hb・Hct・MCV・MCH・MCHC・Plt・WBC分画 生化学的検査:TP・ALB・T-Bil・GOT (AST)・GPT (ALT)・γ-GTP・CPK・ BUN・CRE・LDH 感染症検査:(スクリーニング時にのみ) 梅毒(TP-Ab抗体)・HBs 抗原・HBc 抗体・HBs 抗体・HCV 抗体・HTLV-1抗体・HIV抗原/抗体CMV 抗体 凝固系検査:(スクリーニング時にのみ) PT・APTT |
||||||
製造工程中に末梢血から分離・採取される貧血小板血漿(PPP)を保管品として再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行規則第16条に従い、再生医療等を受ける者が感染症を発症した場合等の原因の究明のため、委託先細胞加工施 設内保管庫の冷凍庫で臨床研究終了後より1年間保管する。 PPPは特定細胞加工物である多血小板血漿(PRP)と同等の検査結果を得ることができると考えられるため、PRPの保管は行わない。 |
||||||
保管していた貧血小板血漿(PPP)は特定細胞加工物製造事業者にて保管期間終了後に適切に破棄を行う。 | ||||||
① 死亡または死亡につながるおそれのある症例の発生のうち、再生医療等の提供によるものと疑われるもの又は当該再生医療等の提供によるものと疑われる感染症による疾病等が発生した場合、再生医療等を行う医師は実施責任者及び病院長にその旨を速やかに報告する。報告を受けた病院長は担当医師に対し当該再生医療等の中止その他の必要な措置を講ずるように指示し、7日以内に認定再生医療等委員会ならびに中国四国厚生局長を通じ厚生労働大臣に速やかに報告する 。また、委託先細胞培養加工施設に発生した事態及び講じた措置について速やかに通知する。 ② 治療のために医療機関への入院又は入院期間の延長が必要とされる症例、障害につながるおそれのある症例、重篤である症例ならびに後世代における先天性の疾病又は異常の発生のうち、再生医療等の提供によるものと疑われるもの又は当該再生医療等の提供によるものと疑われる感染症による疾病等が発生した場合、再生医療等を行う医師は実施責任者 及び病院長にその旨を速やかに報告する。報告を受けた病院長は15日以内に認定再生医療等委員会ならびに中国四国厚生局長を通じ厚生労働大臣に速やかに報告する。また、委託先細胞培養加工施設に発生した事態及び講じた措置について速やかに通知する。 ③ ①と②に揚げる疾病を除き、再生医療等の提供によるものと疑われる又は当該再生医療等の提供によるものと疑われる感染症による疾病等が発生した場合、再生医療等を行う医師は実施責任者及び病院長にその旨を速やかに報告する。 報告を受けた病院長が再生医療等提供計画を厚生労働大臣又は中国四国厚生局長に提出した日から起算して60日ごとに 当該期間(60日)満了後10日以内に認定再生医療等委員会に速やかに報告する。また必要に応じ、委託先細胞培養加工施設に発生した事態及び講じた措置について速やかに通知する 。 |
||||||
再生医療等の提供に起因するものと疑われる疾病等の発生の場合に当該疾病等の情報を把握できるよう、及び細胞加工物に問題が生じた場合に患者の健康状態等が把握できるよう、 あらかじめ患者の同意を得た上で連絡先等の情報を収集し管理する。 投与開始から24週間を追跡調査期間とし、2,4,8,12,16,24 週目に追跡調査を行う。 実施責任者または研究分担者は、被験者が下記の中止基準に該当すると判明した場合には、その旨を被験者に説明し、当該被験者の研究継続を中止する。なお試験製品投与後に中止の場合には、安全性を確認し、その後の被験者の治療については、被験者の不利益とならないよう、誠意を持って対応す る。有害事象により中止した被験者については、必要に応じ適切に処置を実施し、因果関係が否定できないもの以外は、 その有害事象の転帰が確認できるまで、追跡を実施する。 また、中止の場合にはそれまでに提供していただいた検体や データは引き続き使用をさせていただく場合があることも同意説明の際に説明する。 ※1)の場合は、同意撤回書をいただく際にデータ等の使用 について、意思の確認を行う。 1)同意の撤回があった場合 2)研究への継続参加の辞退があった場合(その後の全ての 観察の拒否) 3)選択/除外基準への不適合が発覚した場合 4)死亡(原因を記録する)や、重篤な有害事象が生じた場合 5)研究担当医師により中止が妥当的と判断した場合 6)本臨床研究全体が中止となった場合 本院は再生医療等の提供中止の旨を、その中止の日から10 日以内に認定再生医療等委員会に通知するとともに、中国四国厚生局長に再生医療等提供中止届を提出する。再生医療等 提供計画を厚生労働大臣に提出した日から起算して、一年ごとに、当該期間満了後90日以内に再生医療等の提供を終了した旨および提供を終了した日を報告する。 |
||||||
〈有害事象の収集〉 本研究における有害事象の情報収集対象期間はPRP精製用採血実施時から初回投与24週後までとする。 有害事象は直接の観察(検査を含む)、被験者の自発的報告または各来院時の被験者への質問で確認する。研究開始前に存在した合併症は、それらが研究開始後に悪化した場合のみ有害事象と見なす。臨床検査値又はその他の検査結果の異常は、それらが臨床的兆候又は症状を惹起した場合、治療を必要とした場合、又は臨床的に重要と実施責任者および研究担当医師が判断した場合のみ有害事象とみなす。有害事象と判断された事象に関しては、適切に診療録およびCRFに記載し、評価をおこなう。 本研究の有害事象の収集については、規定来院での確認の他、被験者の主治医からの情報提供も収集の対象とする。 【程度の判定】 有害事象の程度については、次のように分類・定義する。 軽度:日常的活動が妨げられないもの(有害事象があっても出社できる、家事ができる等) 中等度:日常的活動が妨げられるもの(有害事象により仕事や家事がほとんどできない) 重度:日常的活動が不能となるもの 【因果関係の判定】 研究担当医師は、有害事象と試験製品との合理的な因果関係の有無に基づいて、「関連なし」「関連あり」に分類する。 関連なし 試験製品と時間的な相関関係がない。又は、原疾患、合併症、併用薬、併用処置等の他要因によると十分に考えられる場合。 関連あり 時間的な相関関係がある。又は、原疾患、合併症、併用薬、併用処置等の他要因も推定されるが、試験製品による可能性も考えられる場合。 |
||||||
有 | ||||||
2019年01月29日 | ||||||
2019年04月03日 | ||||||
研究終了 | Complete | |||||
有 |
有 |
CONCIDE特定認定再生医療等委員会 | Correct health information for cooperative and innovatine development of society | |
NA8160002 | ||
東京都千代田区麹町2-3-3 FDC麹町ビル3F | 2-3-3 Koujimachi Chiyodaku, Tokyo | |
03-5772-7584 | ||
chiba@concide.or.jp | ||
第一種再生医療等又は第二種再生医療等を審査することができる構成 | ||
適 | ||
2018年11月17日 |
研究者等は本研究に参加する被験者の個人情報保護を、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号、平成29年5月30日改正)他関連法令法規に準拠して実施する。被験者の氏名・住所はCRFには一切記入せず、匿名化対応表を用いて被験者を識別する。なお、匿名化対応表及び研究に関する資料は高知大学医学部整形外科学教室内医局の実施責任者が施錠管理できる棚にて厳重に保管をする。本研究の実施に係る原資料の直接閲覧、医学雑誌への発表などの場合でも被験者の個人情報は保全される。 | ||
無 | No | |
本研究に関わる者は再生医療等を行う医療機関の管理者が開催する再生医療に係る教育講習または同等の研修の受講を必須とする。また、本研究の再生医療等に係るもののうち細胞調製実務者は、細胞を用いた再生医療を行うために必要な細胞調製、保管、品質管理(検査)が行える技術についての研修を受ける。再生医療等に係る研修、または関連する学会等への参加によって継続講習としている。その他の者については「教育訓練の記録」からその適格性を実施責任者は判断をおこなう。 | ||
研究全般に関する問い合わせ窓口 高知大学医学部附属病院 整形外科 岡上 裕介 (不在の場合は、他の再生医療を行う医師又は当直医が対応する。) 〈平日9:00~17:00〉 高知大学医学部附属病院(整形外科) TEL 088-880-2386 〈平日17:00~9:00、及び休日〉 高知大学医学部附属病院(第一病棟5階) TEL 088-880-2497 |
||
非該当 | ||
なし | none | |
無 | ||
非該当 | ||
非該当 | ||
非該当 | ||
4 再生医療等を受ける者に対する説明文書及び同意文書の様式 | 説明文書(股関節PRP).pdf |
---|